教育実習の指導案を作成を成功させる5つのポイント

「教育実習の指導案作成ってどうすればいいのかよくわからない」
「指導案作成で気をつけた方がいいことって何かあるのかな?」
と思っている教育実習生の方も多いのではないでしょうか。
教育実習中、最も時間がかかるのが指導案の作成です。
基本的なルールを理解していないと、何度も書き直すことになってしまいますよね。
この記事では、教育実習の指導案作成で意識すべき5つのポイントについて詳しく解説します。
- 指導案作成の基本
- 指導案作成の進め方
- 同時並行で進めるもの
- 指導案のアイデアを増やす方法
- 締切を守る方法
記事を読むことで、効率的な指導案作成の方法が理解できるようになりますよ。
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教育実習の指導案作成ポイント①:基本をしっかり抑える

教育実習の指導案作成で特に重要なのが「指導案の基本の書き方を理解すること」です。
指導案は、地域や学校ごとに書き方が異なりますが、書き方は共通している部分が多いです。
基本的には、以下の項目について書きます(細案の場合)↓
- 単元名
- 単元設定の理由
- 教材観
- 児童観(生徒観)
- 指導観
- 単元の目標
- 単元の評価規準
- 単元の指導計画
- 本時案
- 本時のねらい
- 本時の展開
- 板書計画
そして、それぞれの項目では、ある程度「どのようなことを書いたらいいのか」が決まっています。
例えば、教材観であれば
- 教材のねらい
→本教材では、〜〜をねらいとしている - 教材の説明
→◯◯(教材名)は〜〜〜である。 - 教材の系統性
→本単元については、◯年生の「」において〜〜〜の学習を行ってきた。 - 教材の価値・意義・取り扱うことで期待できる効果
→これにより、〜〜〜ができると考える
を書き、
児童観(生徒観)であれば、
- 児童(生徒)の学習経験
- 児童(生徒)の興味関心の度合い
- 児童(生徒)の理解度・習熟度・課題
- 児童(生徒)の実態総括
について、事前アンケートや普段の子どもたちの様子から書けばよいです。
しかし、そういった指導案の書き方の基本を学べる場所は、意外と少ないんですよね…。
そこで、指導案の書き方の基本をまとめたサイトを作りました。
当ブログの姉妹サイト「指導案インフォメーション|指導案の書き方まとめ」で詳しく解説しているので、
「指導案の書き方がわからなくて困ってる…」
という方は、ぜひチェックしてくださいね↓
\例文がたくさんあるからわかりやすい/

教育実習の指導案作成ポイント②:いきなり完成を目指さない

指導案作成では、一気に完成を目指してはいけません。
理由は2つあります。
0から作り直しになる可能性があるから
私が大学生の頃に教育実習に行ったときもそうでしたが、
現場経験がないときに考える授業プランは、現場の先生から見たら少し「ズレている」ことが多いです。
- 先生は頑張って説明をするけど、児童生徒はずっと座って話を聞いてるだけ
- 活動の見栄えはいいけど、児童生徒が得られる中身が無い
- 本時のねらい達成とは全然関係のない活動をメインにしてしまっている
- 本時のめあてとまとめが一致していない
そりゃあ、私が大学のときに考えた授業プランなんて、酷すぎますよ…w
でも、いいんです。
教育実習では(私が勉強不足だったというのもありますが)少しぐらいズレているのは当たり前。
それを学びに行くのが教育実習なのですから。
でも、その「ズレている」授業プランを、担当教官に相談もせずに、そのまま最後まで突っ走って指導案を完成させてしまうのはマズイです。
少しズレている授業でも、こまめに相談・アドバイスを受けながら指導案作りをしていけば、その都度修正をかけながら「及第点な授業」を作り上げることができますが、

相談せずに一気に最後まで作り上げてしまったら
指導教官「えーっと、、、どこから手を付けたらいいかな。…全部つくり直したほうが早いかな?」
という結論に達してしまいます↓

「カレーを作ろう」としているのに、
調理の途中に「次にいれるのはどのルーでしたっけ?」「あ、それはハヤシライスのルウだから、こっちのカレーのルウを入れようね」とアドバイスできれば微調整でカレーが作れるのに対し、
調理中に相談に来なくて、「出来ました〜」と突然オムライスを出されたら「…作り直しね」と言われるのと同じ。
0から作り直しになったらかなりつらいので、一気に作り上げるのではなく、方向性があっているかどうかを都度確認しながら進めるようにしましょう。
8割→10割に高める段階が一番大変だから
指導案を完成させるまでの工程で一番労力が必要なのはどこか知っていますか?
それは指導案の完成度を「8割→10割」に上げるとき。
指導案は完璧に近づける段階が一番労力がかかります↓

(指導案だけじゃなく、レポートや資料作成なども同じですよね)
そのため、「6割完成した状態でやり直しをする」のと、「10割完成した状態でやり直しをする」のでは、かけた労力が大きく異なります↓

10割まで作り上げた指導案のやり直しは、正直キツイですよね…。
そのため、こまめに指導教官にチェックを受け、細かな調整を繰り返しながら完成を目指すことをおすすめします。
教育実習の指導案作成ポイント③:指導案「だけ」に時間を使わない

指導案作成は重要です。
しかし、指導案の作成だけやっていてはダメ。
なぜなら、授業に必要なのは指導案だけじゃないから。
仮に指導案が完成しても、
- 板書計画の作成・練習
- 発問の準備
- 学習プリントの作成
- 必要な教材・教具の準備
- 掲示物の作成
- グループ編成の検討
が終わっていなければ、授業をすることはできません。
そのため、指導案の作成「だけ」に時間をすべて費やしてしまってはいけません。
授業づくりでは、いろいろなことを並行して進めていく必要があるので、時間配分を考えて作業を進めましょう。
教育実習の指導案作成ポイント④:書籍から学ぶ

「授業力」は、授業をしないと高められないと思っていませんか?
…実は、授業をしなくても、「授業力」を高める方法があるのです。
その方法は、本(教育書)を読むこと。
本には、日本トップクラスに授業が上手い先生たちが何年〜何十年と積み上げてきたノウハウが書かれています。
それを、わずか2,000円ほどで学べるなんて、利用しない手はないです。
1冊読むだけでも、あなたの授業力は大きく高まります。
教育実習でポンコツだった私も、教員になってから「1年間に100冊本を読む」という目標を掲げて、読書を続けた結果、
(実際は年間70〜80冊ぐらいになることが多かったですが…)
- 総合的な学習の時間の実践発表:全国大会発表者
- 雑誌『理科の教育』に実践事例が掲載される
- 小学校理科全国大会の授業者
- 地区の教育論文で優秀賞獲得
- 地区の理科研究会の事務局長に選ばれる
という実績をいただくことができました。
学校の先生は忙しく、読書の時間が取れない人が多いです。
つまり、読書をして実践を続ければ、上位10%の授業力を持つ先生になれるということ。
まずは、教育実習までに1〜2冊読んで、他の教育実習生よりも1歩リードしちゃいましょう。
教育実習生におすすめの本は2種類あります。
おすすめ①「不易」を学べるベストセラー本
1つは、授業力を高めるベストセラー本。
授業をする上で身につけたい知識・ノウハウには「不易(昔からずっと変わらない不変のもの)」と「流行(時代に合わせて変わっていくもの)」のものがあります。
- 子どもを上手に動かす指示の出し方
- 思考を揺さぶる発問の仕方
- 児童生徒との関係の作り方
- 大勢の前で喋るときのコツ
- 叱り方
- ICT機器を使った実践
- AI活用の授業
- 新学習指導要領で新たに追加された手法
- 自由進度学習や個別最適化学習など、近年生まれたキーワードを元にした実践
教育実習中に身につけるのがおすすめなのは、「不易」な知識・ノウハウ。
「不易」なものを身につけておけば、この先30年以上の教員生活でずっと役立ちます。
逆に、「流行」を身につけた場合は、3〜5年ほどは役立つかもしれませんが、
その後、国がどのような教育政策を打ち出しているのか・世の中がどのように変わっているのか予測できないので、いつまで役に立つのかわかりません。
教育実習では、まずは「不易」の授業スキルを固めて、教員になってから「流行」の部分をおさえていくとよいでしょう。
(流行の部分については、職員研修などでもよく取り上げられることが多いので、今は心配しなくて大丈夫です)
不易の部分を学ぶために、教育実習で読んでおきたいおすすめ本はこちら↓
授業の「不易」な部分を学びたい
教育実習の授業で失敗したくない!
という人は、教育界のベストセラーを読んでおきましょう。
授業の基本をおさえておきたい方は、向山洋一先生の「授業の腕を上げる法則」↓
向山洋一先生というのは、教育界で知らない人はいないほどのレジェンド。
40年前以上前に生み出された本ですが、今でも現役で使える内容ばかりです。
教育実習生・初任者の先生にまず最初におすすめしたい1冊なので、まだ読んだことがない方はこの機会に手に取っておきましょう。
授業以外でも使える「子どもを動かす指示の出し方」を学びたい方は、名著「AさせたいならBと言え」を読んでおきましょう。
教育界で知らない人はいないほどの名著が、30年ぶりに「イラスト図解入り」で読みやすく、わかりやすくなって新登場しました。
小・中・高どの校種でも使える指示の出し方が学べます↓
おすすめ本②授業単元に関わる本
もう1つは、自分が授業をする教科・単元に関わる本。
先程の「不易が学べる本」は、授業力向上は望めますが、指導案作成にはあまり役立たないでしょう。
指導案作成に必要な授業イメージや具体的なノウハウが学べるのは「授業の教科・単元に関わる本」
例えば、小学校国語『ごんぎつね』の授業をするのであれば↓
小学校算数の授業をするのであればこちらのシリーズ↓
などのように、自分が授業する教科や、単元の本を1冊持っておくことをおすすめします。
アマゾンや楽天で、
「小学校 国語 大造じいさんとがん」
「中学校 国語 説明文 指導」
など、「校種 教科 指導内容(単元名など)」で検索すると、書籍がヒットしますよ。
自分の査定授業に関わる教科・単元の本を、1冊は探して手元に持っておきましょう。
教育実習の指導案作成ポイント⑤:締切に間に合わせる

指導案作成の最後のポイントは、締切に間に合わせることです。
「いや、それが難しいから困ってるのに…」
という声が聞こえてきそうですが、締切は頑張って守るようにしましょう。
教員になると、指導案・通知表・学級通信・学年通信・出席簿・アンケート…etcなど、日々いろいろな締切との戦いになります。
しっかり締め切りを守るクセを作るためにも、なんとしてでも指導案の締切を守りましょう。
とはいえ、どうすれば締切を守れるようになるのでしょうか。
私が実践していた「締切を守るコツ」を2つ紹介しますね。
締切を守るコツ①:自分の締切日を設定する
締切を守るコツ1つ目は、自分の締切日を作ること。
例えば締切日が12日だったとします↓

そうしたら、締切日の1〜2日早めに「自分の締切日」を設定します↓

そして、自分締切日を目指して計画を立てます。

自分締切日までに終わらせることができれば、そのまま提出してチェックをもらえばOKですし、
仮に自分締切日までに終わらなくても、本当の締切日まであと2日猶予があるので、その間に完成させることができます。
本当の締切日よりも、1〜2日早めに「自分締切日」を設定してから計画を立てましょう。
締切を守るコツ②:指導案はあくまでも「案」と割り切る
指導案は、完璧の状態で出さなければならない。
そう思っていた私は、初任者の頃、
「やっぱり流れを少し変えようと思って…。指導案の印刷、少し待っていただいてもよろしいでしょうか?」
と、指導案印刷直前に、指導教官にお願いしたことがありました。
そこで指導教官から返ってきた回答は、
指導案は、あくまでも、作成している段階の「案」にすぎない。
「その通りに授業しなければならない」という決まりもないし、当日の子どもの理解度によって、急遽、内容を大幅に変えて授業をすることだってある。
昨日の段階での最善案がここに書かれてあって、大幅に内容が変わるわけじゃないなら、そのまま印刷しよう。
協議会では「今日の児童の様子から、流れを変更したほうがいいと判断し、〜〜〜という流れに変えました」と一言いえば大丈夫だから!
というものでした。
指導案というのは、あくまで「案」。
なので、多少当日の授業とズレが生じていても、問題はありません。
大切なのは、その時間の目標まで児童を高めること。
指導案の微修正に時間を何時間も書けるより、その分の時間を授業で使う教材や学習プリント、発問作成に使ったほうが、授業の目標は達成しやすくなります。
指導案はあくまでも「案」なので、多少のズレがあったとしても、大枠がしっかりできれいれば堂々と授業に臨みましょう。
まとめ:指導案は基礎を理解して、こまめにアドバイスをもらおう

教育実習での指導案作成のポイントについて紹介してきました。
まとめると、
- 指導案作成の基本
→指導案の書き方まとめはこちら>> - いきなり完成を目指さない
- 段階的な作成過程の重視
- こまめな相談と修正
- 0からの作り直しを避ける
- 8割から10割への慎重な仕上げ
- 指導案以外の準備
- 板書計画の作成
- 発問準備
- 教材・教具の準備
- 学習プリントの作成
- 書籍からの学び
- 締切管理
- 自分専用の締切日の設定
- 指導案はあくまでも「案」
指導案作成は基本を押さえ、締切を意識しながら、作り上げていきましょう。
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